日本のレジ袋有料化:世界と比べては?
mymizu Blog Series「エコへの第一歩 with Kanae」
当シリーズは、mymizuメンバーの長谷川佳苗と一緒に環境問題、そして私たちがすぐにでもできるエコ活動について学び、新しいライフスタイルへの第一歩になることを目標としています!
7月1日からはじまる日本全国の小売店でのレジ袋有料化。
みなさんはもうお気に入りのマイバッグを持参する準備はできていますか?
コンビニやスーパー以外にも行きつけのパン屋さんや本屋さん、百貨店や商業施設など、プラスチック製の買い物袋を扱うすべての小売業がこの有料化の対象となります。ただし、厚手で繰り返し使える袋、微生物によって海洋で分解される袋、地球温暖化対策に寄与する地球にやさしい素材の袋は対象外とされています。
なぜ今プラスチック製のレジ袋が有料化されるのでしょうか?
実は2018年の時点で既に世界127ヶ国以上でプラスチック製買い物袋は有料化もしくは禁止されています。
中国、パキスタン、インド、イスラエル、サウジアラビア、アフリカ諸国、フランス、イタリア、カナダ、アメリカなどでは部分的もしくは全面禁止。台湾、カンボジア、トルコ、インドネシア、コロンビア、イギリス、ベルギー、デンマーク、ギリシャ、オランダ、ポルトガル、その他ヨーロッパ諸国などでは有料化されています。
知らないうちに世界ではレジ袋の有料化や禁止がスタンダードになりつつあります。
では、世界で初めてレジ袋を禁止にした国はどこだと思いますか?
答えは・・・
「バングラデシュ」です!
バングラデシュでは壊滅的な洪水が起きたときに排水路がプラスチックの袋で塞がれてしまったことをきっかけに2002年よりレジ袋が禁止となりました。
では、世界で最も厳しいレジ袋の禁止令が施行されている国はどこでしょうか?
答えは・・・
「ケニア」です!
ケニアでは、2017年からビニール袋の使用が禁止になりました。ビニール袋の製造、輸入、販売はもちろん、使用した場合も最高430万円(!)の罰金刑もしくは最長で4年の禁固刑となる可能性があります。この法律が施行されてから人口の約80%がレジ袋を使用しなくなりました。
ケニアの例は少し大胆かもしれませんが、禁止ではなく有料化しただけでもレジ袋の大幅な削減に成功している国があります。
イギリスでは2015年にレジ袋が1枚あたり約7円に有料化されてから、その使用率は86%にまで減少しました。
オランダでは2016年にレジ袋が1枚あたり約30円に有料化されてからその使用率が80%に減少し、廃棄される数も60%にまで減少しました。
私の住むオーストラリアでは州ごとに禁止措置が導入されているため州によってバラつきがありますが、2018年に最大手のスーパーマーケットチェーンの2社が全国的にレジ袋廃止を実施したことにより、オーストラリア全土でその動きが進んでいます。
スーパーで約70円で販売している厚手の布製のレジ袋は一度購入すれば何度でも無料で新品と交換してもらえるので、それをエコバッグ代わりに使ってる人もたくさん見かけます。私もその一人です!
また、2021年にレジ袋の全面禁止が見込まれているタイではこの様な斬新な商品の運び方をする人たちもいます。
壺、ハンガー、工事用コーン、洗濯カゴなどを上手に活用しています。
こうした世界の現状を見てみると、2020年にやっと有料化に踏み切った日本は世界の動きから少し出遅れてしまったようにも見えます。
では、なぜ日本を含めて世界中でレジ袋の有料化、もしくは廃止が進められているのでしょうか?
今まで買い物をするたびに何気なくもらっていたレジ袋が実は海に棲む動物の命を脅かしていたり、地球温暖化を加速させていたりする現実に私たちが向き合い始めたからです。
全国どこに行っても大抵コンビニやスーパーが見つかる便利な日本。
全国的にみると、私たちは年間300億ものレジ袋を使っています。
では日本はレジ袋問題に対して何もアクションを起こしてこなかったのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません!
地方自治体ではこれまでもレジ袋有料化の取組を積極的に進めてきています。
都道府県レベルでは2008年に富山県が初めてレジ袋無料廃止に取り組み、これまでにレジ袋約14億枚を削減したうえにマイバッグを持参する人の割合が90%を超えました。
市区町村レベルでは京都府亀岡市が今年の3月に全国初の「罰則付き」レジ袋提供禁止条例案を公表しました。条例案は、保津川の景観、環境保全が主な目的で2030年までに使い捨てプラごみゼロを実現する第一歩となります。
神奈川県では2030年までにプラごみゼロを目指す「かながわプラごみゼロ宣言」を2018年に発表し、コンビニ、スーパー、レストラン等と連携し、プラスチック製レジ袋やストローの利用廃止や回収などの取組を進めています。
また、小売店やブランドなども7月1日のレジ袋有料化に先駆けて様々な取り組みを進めてきています。
イオングループは2007年から全国チェーンの小売業として初めてレジ袋の無料配布中止を実施しました。2019年度の年間のレジ袋削減枚数は約28.7億枚、レジ袋の辞退率は2018年度実績で80%超まで高まっています。バイオマス素材を配合したレジ袋の販売収益は環境保全活動を目的として各エリアの自治体等に寄付しており、2007年からこれまでの累計金額は約8.4億円となりました。
イトーヨーカドーやヨークベニマルでは、2013年からレジ袋有料化を実施しており、2018年度のイトーヨーカドー食品売場でのレジ袋辞退率は72.7%となりました。
H&Mは、2018年12月からショッピングバッグを紙製に変更し無料での提供を中止しました。紙製バッグの製造コストを除いた余剰金は、WWFジャパンへ寄付され、日本のプラスチックごみ問題の解決を含む海洋環境保全活動全般、および日本国内の淡水や海に関する自然環境保全活動に活用されています。この取り組みによって日本国内(オンラインを除く)の店舗における年間のショッピングバッグの消費が、約53%減少しました。
パタゴニア直営店では、2020年4月よりお持ち帰り袋を廃止。マイバッグを持っていない場合は、不要なエコバッグを循環・共有する仕組み、「エコバッグ・シェアリング」を通じて集められたエコバッグで、商品を持ち帰ることができます。
こうして見てみると、プラスチックへの依存が極めて高いと言われている日本でも使い捨てレジ袋削減に向けて少しずつですが、変わってきている様子が伺えます。
「家庭ごみに占めるレジ袋の割合は小さい。もっと取り組むべき問題があるのではないか」という声もありますが、まずはできることから行動に移していくことが重要です。
マイボトルの次はマイカップ
マイカップの次はマイバッグ
マイバッグの次はマイ箸
マイ箸の次はエコラップ
エコラップの次はパッケージフリーの商品
この様にレジ袋を超え、使い捨てプラスチック全般を削減する生活の「習慣」を社会に定着させていくことが大切なのではないでしょうか。
今、日本をはじめ、世界中で使い捨てが習慣付いている社会が変わろうとしています。
これを機に、自分の習慣を見直し、明日から一緒に環境に優しい新たな習慣を付けていきませんか?
あなたも環境問題の解決に貢献しませんか?
ひとりひとりが協力して行動を起こせば大きな変化が生まれます。
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【メンバー紹介:長谷川佳苗】
四六時中エコなことを考えている「エコフリーク」なわたしはみなさんが自分のためにも環境のためにも持続可能で健康的なライフスタイルを送るヒントを見つけるお手伝いをできればと思い、当ブログを書かせていただいています。地元名古屋から始まった地球に優しい生活への旅。これまでゴミ拾い、ビーガンピクニック、ヨガ、気候変動に関するプレゼンテーションなどのイベントを企画して、350名以上の方と関わってきました。また、政府に気候変動への取り組みを訴えている国際的な団体Fridays For Future Nagoyaの主要メンバーも務め、元アメリカ副大統領のAl Gore氏主催のClimate Reality Leadership training を受講し気候危機に関する知識も深めてきました。環境問題について話すことが「意識が高いこと」ではなく当たり前になる社会を目指して、オーストラリアから情報を発信していきます!