世界と日本のプラスチックゴミの現状
mymizu Blog Series「エコへの第一歩 with Kanae」
当シリーズは、mymizuメンバーの長谷川佳苗と一緒に環境問題、そして私たちがすぐにでもできるエコ活動について学び、新しいライフスタイルへの第一歩になることを目標としています!
前回の記事では海洋プラスチックごみの発生源とマイクロプラスチックのでき方と私たちの健康への影響についてお話しましたが、そもそもなぜこんなに大量の海洋プラスチックごみが発生しているのでしょうか?
世界のプラスチックの年間生産量は過去50年間で20倍にも拡大しています。
その年間生産量は約3.8億トンで、これは全人類の体重に匹敵する重量です。
前編 でもお話ししたように、そのうち実に800万トン(東京ドーム約7個分)は陸地から海にたどり着くという結末が待っています。
産業別の生産量では、容器、包装、袋などのパッケージが36%と最も多く、建設(16%)、繊維(14%)と続きます。
特にペットボトルやレジ袋、食品トレーやストローなど一度利用されただけで捨てられてしまう「使い捨て用」に使われることの多いパッケージのプラスチック生産が、プラスチックごみの量の増加に大きく影響しています。
プラスチックごみ全体でみると、パッケージングがその約半分(47%)を占めていることがわかります。
では日本国内のプラスチック消費はどうでしょうか?
驚くべきことに日本は1人当たりのパッケージ用プラスチックごみの発生量が、アメリカに次いで世界で2番目に多い国です。 ゴミとして回収されたプラスチック類のうち容器包装の割合は全体の67.6%にものぼります。これは世界平均を20%も上回る数字です。 ちなみに、ストローなどの容器包装以外のプラスチック類は16.2%、ペットボトルは14.4%です。
マイクロビーズの問題
前編で挙げたように 、こうしたプラスチックの一部は海洋に流れ着き、徐々に劣化して小さな破片になっていきマイクロプラスチックと呼ばれるようになります。
大きな塊から小さく砕けていくプラスチックの他に、歯磨き粉や洗顔料や化粧品全般などに使用されている初めから小さい5mm以下のビーズ状のプラスチック原料、マイクロビーズもマイクロプラスチックの中には含まれます。
マイクロビーズの粒子はその小ささから下水処理施設のフィルターなどを通り抜け、そのままの形で自然界に流されてしまっています。
発生抑制対策として、一部の国(米国、カナダ、オーストラリア、台湾、インド、イギリス、EU諸国、ニュージーランド、バヌアツ、スリランカ、ガーナ)ではマイクロビーズを含むパーソナルケア製品の製造や販売を規制しています。
しかし、日本では企業レベルで自主的に対応を求めている程度で、規制はされていません。
大手企業だと花王と資生堂がすでにマイクロビーズ入り商品の販売をやめたのは嬉しい変化ですが、日本ではまだまだマイクロビーズを使っているブランドもあるようです。
パッケージの原材料の欄にはポリエチレン、ポリプロピレンやコポリマーなどと表記されていることが多いので、まずはこういった商品を避けることが大切です。
海洋プラスチックゴミを減らすために私たちができること
プラスチックは本質的に悪いものではありません。社会、そして環境にも恩恵をもたらしてきた人類の発明です。 しかし、残念ながらプラスチックを使い捨ての消耗品にしてきたことにより、この素晴らしい発明が地球規模の問題を起こしています。
このような大きな問題の解決に向けて、私たちにできるのは、海洋プラスチックごみの元となるプラスチック、特に「使い捨て用プラスチック」の利用自体を減らしていくことに加え、この問題に対して声を挙げていくことです。
例えば、WWF、Green PeaceやChange.orgなどの団体が募っているオンライン署名に参加することも最初の一歩に繋がります。政府も経済界も、何千万もの声は無視できないはずです。
そして、あなたが愛用するブランドや企業に今こそプラスチックの使い方を変えるべきだと声をあげてみてはいかがしょうか。企業に対して不必要なプラスチックの使用を削減した上で、削減できないものをしっかりとリサイクルをしていくモデルを作り上げることを訴えかけてみましょう。
これは難しく聞こえるかもしれませんが、実は至ってシンプルなことなんです。
身近なところだと、あなたがいつも通うスーパーマーケットの意見箱に意見を寄せることや企業のウェブサイトのお問い合わせページからメッセージを送ることでも声を届けることができます。
私も実際にいつも通っているスーパーマーケットの意見箱にてプラスチック包装の削減、店舗外のゴミ箱への蓋の設置、ゴミの分別をお願いしました。
後日実際に店長さんにお話を伺ってみると、「私も本当は使い捨てプラスチックの削減をしたいと思っています。ただ、お客さまに迷惑をかけてしまうからプラスチック製のレジ袋や包装を止められないんです。」と正直に話してくれました。
実は知らないだけでこの様に考えている企業は他にもたくさんあるのかもしれません。
もしかしたら、私たち消費者からの「使い捨てプラスチックの使用を減らしてほしい」との声がたくさん届くのを待っているのかもしれません。
当たり前のようですが、企業は利益を生み出さなければいけません。だから作っても売れないものは作れないし、大衆から望まれていないものは世に送り出せないのです。
あなたの声が、企業がプラスチックを使わない商品を開発したり、自治体や企業が協力して使い捨て用プラスチック製品の提供を減らすことにつながっていきます。
そして、この動きは既に日本国内でも広がりつつあります。
たとえば、神奈川県は2030年までにプラごみゼロを目指す「かながわプラごみゼロ宣言」を発表し、コンビニエンスストア・スーパーマーケット・レストラン等と連携し、プラスチック製ストローやレジ袋の利用廃止や回収などの取組を進めています。
富山県では、2008年から「レジ袋無料配布廃止」の取組みを全国に先駆けて県内全域でスタートしました。取組みから11年が経過した現在、マイバッグ持参率が95%と高い水準を維持しています。
徳島県上勝町では、2003年以来、「ごみゼロの町」として全住民が協力してごみをきれいに洗って45種類に分別することにより、2016年にはごみ全体の81%がリサイクル、あるいは、堆肥化されています。残りの19%は焼却するか埋立て地に送られています。
こういったモデルケースを見てみると、私たち消費者自身も多少の負担を受け入れることが大切だということがよくわかります。プラスチック製品がここまで広まってきたのは安くて便利であるからですが、これまでお話ししてきた地球環境への影響を抑えるコストはその中には含まれていません。
豊かな海を次の世代に残していくためにも、地球への脅威となりつつある海洋プラスチックごみ問題を解決しなければなりません。他の誰かが解決してくれるのを待つのではなく、プラスチック製品を日々利用する私たち一人一人が、できることからすぐにでも実践していくことが大切です。
さあ、あなたは今日からどんな行動を起こしますか?
あなたも環境問題の解決に貢献しませんか?
ひとりひとりが協力して行動を起こせば大きな変化が生まれます。
アクションページでは、
個人として、企業として、団体として、
今日からすぐにでも始められるアクションをご紹介しています。
詳しくはバナーをクリック
【メンバー紹介:長谷川佳苗】
四六時中エコなことを考えている「エコフリーク」なわたしはみなさんが自分のためにも環境のためにも持続可能で健康的なライフスタイルを送るヒントを見つけるお手伝いをできればと思い、当ブログを書かせていただいています。地元名古屋から始まった地球に優しい生活への旅。これまでゴミ拾い、ビーガンピクニック、ヨガ、気候変動に関するプレゼンテーションなどのイベントを企画して、350名以上の方と関わってきました。また、政府に気候変動への取り組みを訴えている国際的な団体Fridays For Future Nagoyaの主要メンバーも務め、元アメリカ副大統領のAl Gore氏主催のClimate Reality Leadership training を受講し気候危機に関する知識も深めてきました。環境問題について話すことが「意識が高いこと」ではなく当たり前になる社会を目指して、オーストラリアから情報を発信していきます!