la clarté:里山に“光”を灯すレストランに学ぶ、0から始めたSDGs実践の方法!

mymizu Blog Series「給水からはじまるストーリー」

当シリーズではmymizuの給水パートナーの方々をご紹介しています。どんなお店や人が、何をきっかけに、どんな想いを持って給水パートナーになってサステナビリティに取り組んでいるのでしょうか。新たな発見を見つけに行きましょう!

 

青々とした緑が茂り、連なる山々。

その山に薄くかかっている霧と、澄んだ空気。

そんな自然に恵まれた場所に、薪火が見えるレストランがあります。

福井県竹田地区にある la clarté です。

使用されている薪は、すべて福井県産のものを使用。薪オーブンを使って調理することで、電気やガスでの調理とは異なる風味や味わいが感じられるそうです。

la clarté で提供されている料理には、地域の野菜がたくさん取り入れられています。これらはすべて、オーナーである松下ひかりさんのこだわりです。

レストランの周りには、自然が広がるばかり。

松下さんは、「人が集まるような観光スポットではないと思う」と話します。

では、どうしてla clartéには多くの人が訪れるようになったのでしょうか…?


地域を優しく照らす存在になる

la clartéがある福井県坂井市竹田地区は、限界集落に近いと言われる地域。

実はレストランの建物も、もともとは保育園として使われていました。しかし、少子化によりおよそ7年前に廃園に。近くの小中学校も廃校になってしまいました。

使われなくなったものの、建物のつくりが立派だったため、地域の皆さんが利活用の方法を協議。その結果、保育園をリノベーションしてレストランに、小中学校は宿泊施設にすることが決まったそうです。

住民への意見の聞き取りの結果、保育園はレストランになることが決まりました。以前から自身のレストランを持つことが夢だった松下さんにとって、まさに大きなチャンスが巡ってきたようですね。

こうして誕生したla clartéのコンセプトは、里山の光となること。

「保育園と小中学校、両方が同時になくなり、日中は子どもたちの声が聞こえない地域になってしまいました。子どもたちを光と例えるならば、一度はその光が消えてしまったのです。そんな地域において、様々な人が訪れる灯台のようなレストランにしたいという想いがありました。」

そんな想いが込められていることから、レストランの名前は フランス語で光を意味する、la clartéとなったのです。


修行から始めたこだわり溢れるレストラン


故郷に戻って、いつか挑戦してみたいと思い描いていたレストランのオーナーとなった松下さん。ところが、なんとその時点ではレストランの経営やシェフとしてのご経験はなかったのです!

松下さんは大学を卒業された後、飲食関係のお仕事への想いがありつつも、愛知県にて他業種に従事されていました。しかし15年前、出産を機に地元へ戻ることに。それは、子どもを育てる未来を見据えての決断でした。

「子どもを育てるとなった時に、都会では何となく窮屈さを感じていたんです。故郷の福井で両親の支えも得ながら、地域のコミュニティの中で育てたいという想いが強くありました。」


そして、無事に出産を終えて子育てをされていた頃、レストランのオーナーになる機会にめぐり合うこととなったのです。とはいえ、飲食業界は0からの挑戦。まずはレストランで5年ほど修行し、技術や知識を身につけられたそうです。

修行される間にも、レストラン開業に向けた準備が進められていました。メニューを考案するにあたって松下さんは、子どもたちと過ごす中での気付きを取り入れていました。


「スーパーなどで買う食べ物の材料を見ると、怖いものがたくさん入っていて、心配になりました。」

その考えがきっかけとなり、地元の食材をたくさん取り入れたメニューを考案されました。松下さんは、子どもたちにも食べさせたいと思えるような料理にしたいと考えていらっしゃいます。子どもたちへの愛情と同じように、お客様を大切にされる松下さんの想いが伝わってきますね。

la clartéのこだわりは、他にもたくさんあります。その一つは、です。

ご主人が林業の会社を経営されており、何か一緒に取り組めることはないかと考え、レストランの熱源は薪を使用することになったそうです。当時、自然の循環について社会が考え始めた時期だったことも後押しとなりました。

「薪の力には代えがたいものがあります。言葉で説明するのはとても難しいのですが、料理をしていても、食べてみても、その違いが分かります。」

さらに、la clartéでは地元の木を使ったトレーを使用されています。その木は、ご自身で山から切り出したもの。薪との相性も素敵な、あたたかく優しいデザインになっていますね。


給水パートナーになり、訪れた変化

松下さんがmymizuを知ってくださったのは、2年ほど前。

当時、SDGs(持続可能な開発目標)という言葉がよく見聞きされるようになった頃でした。

「忘れもしない、2019年に東京で料理通信社主催の “食×SDGs” カンファレンスがあったんです。そこでmymizuのブースがあって、活動を知りました。私たちでも参加できるんだと分かって、すぐに給水パートナーとして登録しました。」

どんなお店でも水を提供することができれば給水パートナーになることができること、それがサステナブルな活動の一つとなることを知り、導入したいと考えてくださったそうです。

それ以前にも、la clartéとして何か取り組んでいたからこそ、すぐに行動できたのでしょうか?

「私にとっては、SDGsの第一歩がmymizuだったんです。それ以前は難しく考えすぎていて、私に何ができるのだろう?と疑問に思っていました。でもmymizuの取り組みを知って、小さなことから始めれば良いんだな、とりあえずやってみよう!と思いました。」

SDGsは世界規模での目標であるがゆえに、身近な行動に落とし込むことができないと感じることがあります。しかし松下さんは、給水パートナーへの登録がきっかけとなり、SDGsに対する考え方に変化があったとのこと。

「給水を始めてから、気持ちが楽になりました。mymizuでプラスチックごみ削減の取り組みをしているのに、給水パートナーである私たちがお客様にプラスチックのストローを出すのはどうなんだろう?など意識するようになってきたんです。」

最初の一歩が見つかると、身の回りのものに疑問を持ちやすくなり、次に進むことができるのかもしれません。一つずつ繋がるようにして、身近なところから変化していったと感じる、という松下さんの言葉が印象に残っています。

そんな松下さんが次に着目されたのが、割りばしでした。


「国産の間伐材を活用した割りばしは多く見られる中で、私たちは岐阜県産のものを使用しています。福井県でも行政が作ったものがあります。けれど私たちは、社会に変化をおこしたいという想いを持って活動する中小企業を応援したいと思っています。お店で宣伝することで次に繋がれば良いなと思ってるんです。」

このように、企業を応援したいという強い想いが伝わってきました。それは、林業で生計を立てていく大変さを実感されているからこそ、生まれるものなのです。

普段の生活から感じていることや、目にとまったことを基に自分に今できることを取り入れる姿勢を持ち続けてきたことで、いつの間にか工夫に溢れたレストランになったのですね。

お店に入って一番初めに給水の取り組みを目にすることで、お客様が「環境や社会に配慮したお店なんだ」というイメージを持たれます。すると、お皿や薪にも注目し、自然と質問をしてくださるそうです。こうして会話のきっかけが生まれているのですね!


こうして、できることから一歩ずつ積み重ねた結果、ミシュランガイドの目にとまりグリーンスターを獲得されました。

「審査員の方がいつ食べに来られたのか、私たちも分からないんです。予約も他のお客様と同じように入ります。なので、ミシュランガイドが販売されて初めて、自分たちが載っているかどうかを知りました。」

なんと、審査員は一般のお客様にまぎれて来訪しているのです。つまり、審査員だからといって特別に声をかけることはできません。そんな中でla clartéがグリーンスターを獲得されたということは、きっとレストランで過ごす時間の中で、自然環境への優しさを感じることができたのではないでしょうか。


これから、松下さんには挑戦してみたいことがあるそうです。

それは、ありがとうの循環を生み出すこと。

コロナ禍でテイクアウトの利用が増えた結果、どうしてもプラスチック容器がゴミとして発生してしまうこととなりました。しかしこれを前向きに捉えて、使用済みの容器を近くの提携店に返却することができる仕組みを作りたいと考えているそうです。

この活動が実現することになれば、ポイ捨てを防止するだけでなく、お店とお客さんの新しい繋がりを築くきっかけになるかもしれませんね。


身の回りの様々なモノに意識を向けられるようになると、自分が特に理由なく選んでいるものがあることに気付きます。

この会社を選ぶのはなぜだろう?

この商品じゃないといけない理由は何だろう?


ふとそんな疑問を投げかけることが出来たとき、完璧ではなくとも、いつもよりちょっと優しい選択になるはず。そして、いつか振り返って見た時、それが大きな変化に繋がる一番はじめの小さな挑戦であるかもしれません。

少し立ち止まって、給水を始め、社会課題解決に取り組む企業を応援することに決めた松下さんの優しい選択。ぜひ皆さんも身近な「選択」を考えてみませんか?その一つの変化が、自然を守ることに繋がり、誰かを応援する力にもなるはずです。


<編者後記>

給水を始めたことが転機となり、レストラン全体にサステナブルな取り組みが広がったという、まさに「給水からはじまるストーリー」を伺うことができ、とても嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

私は、松下さんからla clartéがグリーンスターを獲得したというお話を聞くまで、そのような認定制度が存在することを全く知りませんでした!現在、関東や関西を中心にいくつかのレストランが認定されているようです。これから、グリーンスターを基準にしてお店を選んでみるのも面白いかもしれませんね!

薪火の見えるレストラン la clarté/ラクラルテ

〒910-0203 福井県坂井市丸岡町山口64-31

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【ライター紹介:NATSUKI】

 

社会課題を解決することについて何でも興味が湧いてしまう大学3年生。お気に入りの時間は、近所の河川敷で一人でぼーっとしているとき。そんな環境で育ったため、都会で一人暮らしを始めてから、身近に自然に触れることができるありがたさに気付きました。「給水からはじまるストーリー」を通じて、給水パートナーの想いを広めて、人にも地球にもやさしい輪が広がることを願っています。